嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも
すると、泉の手が緋色の片方の頬に触れた。
そして、そのまま彼が近づいてきたのだ。
「あ…………。」と、思った時には、泉にキスをされていた。
温かくて、そしてふんわりとした感触だった。
泉はそのまま緋色を自分の胸に押し当てるようにして、後頭部を支えた。
「…………結婚式の練習。少しはしておかなきゃだめだろ?」
「…………う、うん…………。」
「あ、でも緋色ちゃんが嫌だったら無理にはしないから。」
そう言いながらも、彼は頭を離してはくれない。
彼の甘い香りと一緒に、早くなっている鼓動を感じた。泉もキスをして緊張しているのだ。
それがわかった瞬間に、緋色は硬くなっていた体が少しだけ軽くなったような気がした。
「…………私も、練習しておきたい………かな。」
「………え、本当に?」
「………うん。」
「じゃあ、もう1回………だけ。」
泉に顎を持ち上げられ、彼の事を見上げる。彼の少し恥ずかしそうに見つめる視線を感じながら、緋色は彼の瞳をジッと見つめた。
先程より、少し長いけれど軽いキスが落ちてくる。
それを感じながら緋色は彼の全てを感じようとゆっくりと目を閉じた。