嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも



 緋色が事故にあった後、数ヵ月に1回は病院に行っていた。記憶の話をよくするけれど、あれから何かを思い出すことはほとんどなかった。医師からは、何かのきっかけで思い出す可能性は十分にあると言われていた。
 もし、記憶を取り戻したとしても、もう養子だという事は知っているので、ショックは受けないはずだと、緋色は考えていた。



 結局、話し込んでいるうちに、すっかり昼過ぎになってしまい、3人で昼食を食べた後、緋色と泉は帰ることにした。
 望は帰り際に「結婚式はした方がいい。2人と私だけでもいいから。思い出としても記念としてもやった方がいいだろう。………茜も、2人の晴れ姿を楽しみにしているはずだよ。」と言ってくれた。


 望と別れ、2人は今日は家に帰ることにした。
 そして、緋色が作ったアイスコーヒーを飲みながら、リビングのソファに座った。



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