一生に一度の「好き」を、全部きみに。
いきなり不躾なことを言ってる自覚はある。
「どうか、お願いしますっ!」
「いいよ、本気で困ってるっぽいし」
「はぁ? なんでこんなヤツを受け入れるわけ?」
「まぁまぁ、困ったときはお互い様だって言うだろ。そうカリカリすんなよ、咲ちゃん」
「誰が咲ちゃんだ、誰が。ガキ扱いするんじゃねー!」
「はいはい、ムキになっちゃって。お子ちゃまだな」
「えっと、きみ、とりあえずこっちに座りなよ」
「こんなヤツ床で十分だろ」
フンと悪態をつく彼には、どうやら迷惑がられてしまっている。値踏みするような鋭い視線を向けられて、思わず肩が縮こまった。
「す、すみません、少ししたらすぐに出て行くので」
「ちっ、だったら今すぐ出ていけよ」
「咲っ。おまえ、少しは女の子に優しくしろよ。これだから女嫌いは」
「うっせーな、見ず知らずの女に優しくする必要ないだろ」
咲と呼ばれた人の声にどことなく聞き覚えがある。
その名前も、さっきどこかで聞いたような気がする。
咲、咲、咲……。
「あっ」
思いの外大きな声が出た。
こうやって近くで見ると、全員が整ったきれいな顔立ちをしている。
オレンジに茶色に金髪に黒。色とりどりの頭髪に、派手な風貌。誰もが目立っていて、人の目を引く独特のオーラを放っていた。