一生に一度の「好き」を、全部きみに。
喉に重いなにかが引っかかって、言葉が出てこない。
「今すぐどこかに消えてくれない?」
憎悪の眼差しに胸がヒリヒリ痛んだ。そこまで恨まれていたなんて……。
「そんなのただひがんでるだけでしょ。そんな理由で人を悪く言えることに驚きだよ」
「早瀬さんには関係ない。あたしは神楽さんと話してんの!」
「そんなこと言われて黙っとけるわけないでしょ?」
花菜も瀬尾さんもかなりヒートアップしている。
「とにかく、あたしは神楽さんが嫌いなの。それだけは覚えておいて。無意識のうちに気に障ることをしてたんなら申し訳ない? ふざけんなっつーの」
嫌味っぽく思いっきり顔を背けて瀬尾さんは教室をあとにした。
「なにあれ! ムカつく! 葵、気にすることないからね」
「…………」
「葵? 聞いてる?」
「あ……うん」
そう返事をしたものの、心に刺さった言葉はしっかり残っていて。
やりようのない気持ちをどこへ持っていけばいいのかわからなかった。