一生に一度の「好き」を、全部きみに。
グラウンドでは最後の大目玉であるクラス対抗リレーが始まろうとしていた。
やる気がなかったクラスメイトたちも、なんだかんだと応援に熱が入って盛り上がっている。
「次絶対見なきゃ!」
「ねー! 目の保養だよ」
女の子たちの浮かれる声を聞きながら、私はフラフラする足取りで保健室へ。
ああ、ダメ……。
校舎のそばまできたとき、本格的に目の前がかすんできた。
頭に酸素が足りてない証拠。足が鉛のように重くて今にも倒れてしまいそう。
「待ちなさいよ」
誰かに力強く肩をつかまれた。
この声は、瀬尾さん……?
恐る恐る振り返ると、睨みつけるような尖った瞳が私を捉えていた。
「鳳くんに選んでもらったからって、ほんっっとウザい! 人のこと見下してんじゃねーよ!」
一方的に暴言を吐かれて理解するのに精いっぱい。
そんなつもりは、ないのに……。
胸が鉛のように重くなっていき、重圧に耐えられなくなりそう。
ふと瀬尾さんを見上げると、泣いたあとみたいに目が真っ赤に充血していた。
「どう、して?」
「は?」
「どうして、そこまで私を……恨むの?」
存在が嫌だからって言われたら、それまでだけど……。