一生に一度の「好き」を、全部きみに。

七月に入りカラッとした天気が続く毎日。じっとしているだけで汗をかく。

瀬尾さんはあれ以来本当に私に絡んでくることはなく、丸くなったというか落ち着いたというか。

最初のうちはビクビクしてた私だけど、今ではすっかりそれもなくなった。

頼んだわけではないけど、病気のことも黙ってくれているみたい。フェアじゃないって言ってたくらいだから、意外と男勝りなのかもしれない。

とにかく、色んなところでホッとした。

「でさ、夏休みじゃん? 四人でどっかいかない?」

「あたしは葵とふたりで遊びたい」

昼休みの屋上は灼熱地獄なので、教室で花菜とお弁当を食べるのが日課になった。

するとそこに咲と翔くんも混ざって、最近は四人ですごすことも多い。四人でわいわい、主に翔くん中心に騒がしい。

「なんで? 夏だよ? 夏こそ弾けられる季節はないんだからさ〜! みんなで遊ぶ方が楽しいって!」

「あたしにこだわらず、他の子と遊べばいいじゃん」

「は? なに言ってんの! 花菜ちゃん意外と遊ぶわけないじゃん!」

「あー……はいはい」

花菜の面倒くさそうな返事にクスリと笑みがこぼれる。

どうやら翔くんはまだ花菜を諦めてはいないらしい。

花菜もそんな翔くんの気持ちをわかっているのか呆れ顔だ。

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