一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「葵ちゃんはどう? 俺らと遊びたいっしょ?」
「えっ、うん、まぁ、そうだなぁ」
「遊んでよ。じゃなきゃ花菜ちゃんがきてくれないから」
「翔くんの目的は、どこまでも花菜ってわけね」
「当然! あ、でも、葵ちゃんと遊びたいっていう気持ちも数ミクロンはあるよ」
数ミクロンって……ちっさ。
ほとんどないじゃん。
「なにバカなこと言ってんだよ」
「はは、妬くなよ咲〜!」
「はぁ? なわけないだろ!」
今日もいつものように盛り上がる。こんな些細なやり取りをしてるときが一番楽しい。余計なことを考えなくて済むから。
「神楽さん、二組の男子が呼んでるよー!」
不意に名前を呼ばれて声のした方に視線をやると、教室のドア付近からクラスメイトが私を手招きしていた。
「ちょっと葵、サッカー部の超イケメンじゃん!」
バシバシと興奮気味に私の腕を叩く花菜。
「告白でしょ、絶対に!」
「こ、告白? とりあえず、ちょっといってくるね」