一生に一度の「好き」を、全部きみに。

しばらくするとオレンジジュースがやってきた。

暑くて汗をかいていたので、一気に口に流しこむ。

冷たくて美味しい。

「ねぇ、ひとつ聞いていい?」

花菜はアイスカフェラテを飲みながら上目遣いで私を見た。

少しぎこちないような表情だ。

「ん? なに?」

「鳳くんのこと。葵はどう思ってるの?」

「どうって……」

「夏休み前までの鳳くんと葵、なんだかギクシャクして変な感じだった。なにかあったんじゃないの?」

「ないよ……なにも」

あの日、私は咲の話を聞こうとしなかった。

それ以降、避けられはしていないものの私たちの間は確実にギクシャクしている。前みたいに軽口を叩くこともなくなって、気まずい関係のまま夏休みに入った。

今日だってライブにいこうと誘ってくれたのは翔くんだ。

もう笑い合える日はこないのかな。

そう考えたら胸がズキズキして、ひどく締めつけられた。自分からそうなることを望んだくせに、私ってどこまで自分勝手なんだか。

「だったらなんでそんな悲しそうな顔してるの?」

悲しそうな顔、か。

今の私は誰が見てもそんな顔をしてるんだ……?

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