一生に一度の「好き」を、全部きみに。

「気になるんだよ、葵のこと。なんで元気ないのかなって。最近笑顔が引きつってるし、無理してるんじゃないかと思ってね」

花菜はこんな私を心配してくれてる。

こうなった原因を作ったのは私だから、落ち込む資格なんて私にはないのに……。

「花菜……私、私……っ」

最低なこと、しちゃった。

脳裏によぎったのは咲の傷ついたような顔。

「やだ、ちょっと葵。泣いてるの?」

「わた、し……っ」

次々とこぼれ落ちる涙。目頭が熱くて、胸がヒリヒリする。

ぬぐってもぬぐっても、涙が渇くことはない。

「落ち着いて、ゆっくり息して。ね?」

気遣ってくれる優しい花菜の声に、ますます涙が止まらない。

「咲のことが、好き……なの、に……っ」

私には気持ちに応える資格がないの……っ。

だって、死ぬんだよ……。

私は二十歳まで生きられるかわからない。

だから……咲のそばにはいられない。

「なにがあったかゆっくりでいいから話せる?」

「う、うっ……」

「葵……」

しばらく泣いたあと、徐々に涙が引いていった。

「私ね……」

それから咲を好きになったこと、咲に助けてもらったときのことを詳しく花菜に説明した。

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