一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「ま、咲のことは気にせずに、ゆっくり寛いでいってね」
「あ、ありがとう、ございます……」
ペコリと頭を下げて近くにあったパイプ椅子にちょこんと座った。
「葵ちゃんはこの辺に住んでるの?」
類さんは私を気にかけてくれているのか、パイプ椅子に腰かけながら笑顔を向けてくる。
「は、はい。すごく近くってわけじゃないですけど」
「へえ。中学生?」
「先日卒業したところです」
「じゃあ、咲と一緒だ」
「えっ!」
私は思わず椅子から立ち上がった。
「こいつ、体格いいから高校生っぽく見えるかもだけど、実はまだ幼いんだよ。ちなみに咲以外全員大学生」
「そ、そうなんですか」
どうりで大人っぽいはずだ。
でも咲が私と同じ年齢だったなんて一番ビックリだよ。
みんなからお子ちゃまって言われてた理由がようやくわかった。
「なんだよ?」