一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「私もね……お母さんと同じで、二十歳まで生きられないみたい……っ」
「え……?」
「……死ぬの」
それが私の運命。
「もしも、奇跡的にドナーが見つかって……移植手術を受けられたら助かるかもしれない……っ」
「……っ」
「でも、きっと、可能性は低いと思う……」
この先心機能は低下する一方で、そしたらもうこんな風に咲とは笑い合えなくなる。
この恋に未来なんてない。
ツラい思いをするのは目に見えてる。
待ってるのは残酷な現実だけ。
「だから、ごめんなさい……っ」
そう言ってから立ち上がり、私はゆっくり歩き出す。走れないのがすごくもどかしい。
咲の顔は見れなかったけど、きっともうなにも言ってくることはない。
これでよかったんだよ、これで。
あふれる涙を拭いながら、私は公園をあとにした。