一生に一度の「好き」を、全部きみに。

ライブから三日がすぎた今日。

翔が突然家にやってきた。俺んちの家族と仲がいいので、親も翔のことはよく知ってる。だからこうして俺が許可しなくても勝手に部屋に上がりこんでくるわけで。

「仲間だな、俺たち! 振られ仲間!」

「一緒にするんじゃねーよ」

「そんでお前は生気を抜かれたような顔してるんだな。納得〜!」

「なんでそんなにうれしそうなんだよ」

「いやぁ、だって咲が振られるなんてさ。寝耳に水、みたいな。絶対うまくいくと思ったのに」

「世の中そううまくいくことばっかじゃねーよ……」

はぁとため息が漏れそうになる。

「ま、がんばれよ。応援してっから。っていうか、俺の話も聞いてくれー。ライブのときも花菜ちゃんに告ったけど、ダメでしたー……!」

にこにこしながら冗談っぽく笑う翔。

ある意味こいつはタフすぎてすごい。

どんだけ強靭な神経の持ち主だよ。

俺が知ってる限りでは五回以上は告ってるはず。

ちょっとは落ち込む素振りでも見せれば、早瀬も少しは気にしてくれるんじゃねーの?

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