一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「けどさ、今度ふたりでデートするんだっ! やっとオッケーもらえたわけ! あ、全部俺の奢りでっていう条件つきだけど」
楽しそうな翔を見てたら、なんかちょっとヘコむ。
俺、なにやってるんだよ……。
時間が経てば経つほど、どうすればいいかわからなくなる。
葵が死ぬなんて未だに信じられない。
夢ならどんなによかったか。
あのときから時間が止まったかのように、なにもかもがぐちゃぐちゃのままだ。
「もし、もしさ、早瀬に重大な秘密を打ち明けられて、それは早瀬にとってどうしようもないことで……。それを理由に振られた場合、お前ならどうする?」
「ちょい待ち、お前がなに言ってんのか全然わかんねー」
眉間にシワを寄せながら、翔は首をかしげた。
「なんでだよ、わかるだろ。もしもの場合の話」
「想像してみるわ。えーっと、もしも花菜ちゃんに重大な秘密を打ち明けられて、それは花菜ちゃんにとって変えられない現実で、それを理由に振られたらどうするかって……?」
翔なんかになにを聞いてるんだ、俺は。
茶化されるに決まってる。
笑われる。
それでもすがらずにはいられなかった。