一生に一度の「好き」を、全部きみに。
だけど考えても虚しくなるだけだから、考えるのはやめよう。とにかく今はこれからのことを考えなきゃいけない。
これからのこと、これからの……。
ここを出てからのことを考えたら不安しかない。
どうしよう……。
「で、おまえはどうすんの?」
「へっ……?」
咲の鋭い声が私に向けられているのはすぐに理解できた。でも、言われてる意味がわからない。
咲は腕組みしながらまっすぐに私を見ている。思わず怯んでしまうような冷たい眼差し。でもちゃんと意志を持ったブレない瞳。
なんとなくだけれど、咲の瞳は苦手だ。強くて引き込まれそうになるから。
「あ、えと、ごめん。ボーッとしてた」
「もう誰もいねーけど、おまえはいつになったら出てくわけ?」
「え?」
誰もいない……?
そんなはずは……。
周りを見てハッとする。
さっきまでたしかに類さんがいたはずなのに、今この空間には私と咲の姿しかない。
「なんでって、さっき器材を運ぶのに出て行っただろ。見てなかったのかよ?」
「考えごとしてたから、気づかなかった……」
「なんだよ、それ」
ちっとまた舌打ちされてしまった。