一生に一度の「好き」を、全部きみに。

「まぁいいわ。これ、やる」

私のすぐ隣に腰をおろした咲が、ペットボトルの水を渡してきた。

説教しながらも、こういう優しいところがあるなんて。

「とりあえず水分とっとけ。水分制限があるなら、ひとくちでもいいから」

「ありがとう。汗すごいね。これ使って」

バッグからハンカチを出して咲に渡した。私のために急いできてくれたのかな。だとしたらうれしい。

「わり、サンキュ」

「こっちこそ水ありがとう。っていうか、たまたま近くにいたの?」

「あー、俺んちこの近くなんだよ。さっきまでずっとすぐそこのコンビニにいたんだ」

たしかここにくるときにコンビニがあったような。じゃあ私が前を通ったときに、咲はコンビニの中にいたかもしれないんだ。

なんという偶然。昨日の今日だから照れくさくて、まともに顔が見れないよ。

焼けつくような胸の高鳴りは、太陽の熱よりも熱い気がする。

「この近くなの?」

「ああ、すぐそこ。なんならきてもいいけど」

「ええっ、ダメだよ、そんなの、いきなりっ!」

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