一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「でもさ、俺、葵の感情ダダ漏れなとことか、表情がコロコロ変わるとことか、結構あれだな……うん」
「なに? はっきり言いなよ」
どうせまたからかって笑うんでしょ?
「いや、うん。わりと好きだなって」
「え……?」
「いや、だから、お前のそんなとこが好きなんだよ……っ」
理解の悪い私にぶつけられたぶっきらぼう言葉は、甘く優しく胸を刺激する。全身にジワジワと温かいものが広がっていく感覚。
す、好きとか……。
明るいところで、しかもこんな炎天下ではっきりと言われたら、汗以上に動悸が止まらない。
こっそり隣を向くと、ぎこちなくへの字に曲がる咲の口元。
「あー、くそっ。こっち見んな」
照れ顔の咲がかわいくて、思わず笑みがこぼれる。
「私、咲の照れてる顔が好きだな」
「なんだ、それ」
「いつもはクールなのに、ギャップがあってかわいい」
「かわいいって、葵にだけは言われたくねー……」
「どうして?」
「好きな女にそんなこと言われて、うれしい男なんていないだろ」
クールでツンデレなのかと思いきや、思ったことをポンポン口にする咲の姿は、私の想像の範疇をはるかにこえている。
もう引き返せない。
昨日以上に今日の方が、もっとずっと好きだから。