一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「これからどうするんだよ?」
咲は眉間にシワを寄せて不愉快極まりない態度だけど、そんなことを聞いてくるってことは、少しは私のことを気にしてくれているのかな。
「まぁ……なんとかなるような? あんまり考えてない……」
「なんで疑問系? 考えてないって……。つーか、なんで裏口なんかにいたんだよ?」
「さぁ……? 忘れちゃった」
「忘れたって、おまえ……」
小さくため息を吐いたあと、咲はダルそうにひとこと。
「めんどくせ」
「かくまってくれたことは感謝してる。ありがとう」
「べつに、俺は賛成したわけじゃないし。そんなんでいちいち礼とかいらねー」
「ううん、助かったから……ありがとう」
さすがに失礼かと思って帽子を取って咲に笑顔を向ける。
すると、咲の大きな目がこれでもかってほど見開かれて、動揺するように揺れた。
「だ、だから、べつに礼なんかいらねーんだよ!」
ぶっきらぼうにそう言うと、咲はプイと顔をそらして私に背を向ける。
なんでだろ、耳の縁が赤いような……。
お礼を言われることに慣れてないのかな?
「ボロボロの格好してるし、わけ、わかんねーよ。おまえ」
「またおまえって言った!」
「あー、はいはい。すみませんね」
「悪いと思ってないでしょ?」