一生に一度の「好き」を、全部きみに。

相変わらずマイペースなヤツだけど、でもね、そんなところも嫌いじゃない。

なんて……。

ふたりで並んで廊下を歩いていると、色んな人からの視線が突き刺さった。

「あのふたり、付き合ってるんだってー!」

「ねぇ、ショックー!」

「似合わなさすぎっ」

比べられてコソコソ言われることにも慣れた。でもやっぱりちょっとは傷つく。

私は少し早足で教室に向かった。

するとすぐに花菜が席まできて、他愛もないおしゃべりが始まる。

「でね、黒田のヤツ、どうしたと思う?」

「えー、さぁ?」

「どさくさに紛れて手を繋いできたんだよ、手を! 付き合ってもいないのにさ」

頬を膨らませて怒る花菜は文化祭の買い出し係に当たって、翔くんと買い出しにいった先での出来事を話してくれた。

「いい加減付き合っちゃえば?」

「嫌だよ。チャラいもん……」

「そんなことないと思うけどな」

どう見ても翔くんは花菜一筋だ。女友達が多いのは事実だけど、花菜に対してだけ態度が全然ちがう。

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