一生に一度の「好き」を、全部きみに。
さっきまで咲にビクビクしていたはずなのに、変なの。言いたいことがズバズバ言えてる。
態度は悪いけど、私の心配をしてくれたりして、悪い人じゃないってわかったからかな。
子どもみたいな咲に思わず笑みがこぼれる。
「なに笑ってんだよ」
ゆっくり振り返った咲が、じとっと私を見やる。
「私ね……死ぬの」
「…………」
ポカンとしたあどけない表情。咲はあからさまに目を瞬かせた。
「ぷっ、あはは! 冗談だよ! ちょっと嫌なことがあったんだけど、ライブで咲の歌声聴いたら、感動して全部吹き飛んじゃった」
「え? は? 冗談……感動って。変なこと言うなよ」
「ごめんごめん。咲の歌声がめちゃくちゃよかったって話。実は、感動して泣いちゃったんだよね……あはは」
今でも心に残ってる透き通るような声が。一生懸命で、まっすぐで、私の心に響いたんだ。
私だけじゃない、あそこにいた誰もが咲の声と音楽に魅了されていた。