一生に一度の「好き」を、全部きみに。
ガシガシと頭をかく咲には余裕がなさそうだ。
それを見て愛しさがこみ上げる。
大事にしてくれてたのかなって、そんな風に感じた。
ねぇ、大好きだよ。
口に出してはなかなか言えないけど、態度では思いっきり示そう。
水族館を一蹴し終える頃には、心から笑えるようになっていた。私ってなんて単純なんだろう。
水族館を出てから近くのカフェに入り、向かい合って座る。外はとても寒いけど、心はポカポカだ。
「あ、そうだ。これやる」
「え、なに?」
差し出された小さな袋の包み。
もしかして、プレゼント……?
「気に入るかわかんねーけど」
まさか、クリスマスに興味がなさそうだった咲が用意してくれてたなんて……。
「ありがとう!」
どうしよう、泣きそうなほどうれしい。
感激で涙が浮かんで、指でそっと拭う。
「泣くほどのことじゃないだろ」
「ううん、うれしい」
丁寧に包みを開けると中身はチェーンブレスレットだった。
細いチェーンに小さなハートの三つついてて、おしゃれですごくかわいい。
「ありがとう……大事にするね」
早速それを腕につけてみると、大人っぽさが増した気がする。
咲からのプレゼントっていうだけで、胸が震えるほどうれしかった。