一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「しかしお前らいつまで経ってもラブラブだな。将来結婚までするんじゃねーの? 式には呼べよなっ!」
「なに言ってんだよ」
「だってお前葵ちゃんにベタ惚れじゃん。別れるとか考えらんないだろ?」
「当たり前だろ」
「ほっらラブラブ。こいつ、一生葵ちゃんのこと離さないと思うから覚悟しといた方がいいよ」
「あはは……」
キリキリと胸が痛む。きっとそんな先まで一緒にはいられない。
近い将来、離れ離れになる。私たちの恋愛はそんな不安定なもの。
咲はそれで幸せなのかな。
ふたりでこうやって並んで歩くのも、あと何回ぐらいできるんだろう。
同じ教室で授業を受けて、昼休みを屋上ですごしたり……。
今日が最後かもしれないと思いながらすごす毎日。
ふたりで地元に帰ってきてから、川沿いの土手の芝生に並んで座った。
ポカポカしていて気持ちいい。
「葵ってさ、ときどきなに考えてるか全然わかんないよな」
「えー、なにそれ」
駅までの道のりを手を繋いで歩く。周りの生徒たちからの羨望の眼差しが痛い。
「遠く見つめながら、なに考えてんだよ」
「なにって、まぁ、いろいろだよ」
「いろいろって?」
「珍しく食い下がってくるね。どうしたの?」
「こっちのセリフ。最近明らかにおかしいだろ、お前。心配してんの」