一生に一度の「好き」を、全部きみに。

「ありがと、でもあんまり言いたくないな」

言ったら止まらなくなる。それにね、口にすると本当にそうなってしまいそうで怖い。

まだ大丈夫。そう実感することで保っているギリギリの理性が壊れてしまいそうだから。

私は弱い。だからこそ強く見せたい。情けない自分をさらけ出したくない。特に咲の前では、無理をしてでも強くいたい。

変なプライド。

そんなものは捨てて、咲に泣きついたらきっと優しく受け入れてくれる。でもそれだけはしたくない。

「なんでそんなに強がるんだよ? もがけばいいだろ。あがけよ」

え……?

「俺にだけは弱さを見せてもいいんだよ。全部諦めたって顔して、必死に自分の運命を受け入れようとしてる。逆らいたいから苦しんでるんじゃねーの? 葵の本音がどこにあるか、わかんねーよ」

淡々とした咲の言葉が胸にズシッと響いた。

咲なりにいろいろ思うところがあったのかもしれない。

「俺はそんなに頼りない? それでも俺は葵の全部を受け止めたいと思ってる。一緒に悩んで、考えていきたいんだよ」

切実な叫びに胸が締めつけられた。

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