一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「葵は将来なにがしたいんだよ?」
「私……?」
その瞬間、葵の表情が曇ったような気がした。
「私はとりあえず、毎日を精いっぱい生きることを目標にがんばろうかなって。それだけ」
毎日を精いっぱい生きる。
命の危機に直面していない俺には当たり前の日常。特に考えたりしたこともなかった。
でもそれは、葵には奇跡のようなもの。
「俺がずっとそばにいてやるよ」
「ふふ、ありがとう」
そんな寂しそうな顔で笑うなよ。
葵には心から笑っててほしい。せめて俺といるときくらいは、余計なことは考えずにいてほしい。ツラさとか不安を取っぱらうことができたら、どれだけよかったか。