一生に一度の「好き」を、全部きみに。

俺にはなにができる?

やりたいことが定まっていないから、どれもこれもしっくりこない。

人の役に立つことといっても、たくさんありすぎる。

「はぁ」

「そんなに悩むなよ。まだ若いんだから、今すぐ決めなくてもいいと思うぞ。時間はたっぷりあるんだからな」

「…………」

時間はたっぷりある……。

もし、葵のことがなかったら俺だってそう思っていたはず。

なんでも葵と結びつけるのはよくないけど、どうしても浮かんでくる。

『生きたい』と言って泣いた葵の顔が。

人のためじゃない。

俺は、葵のためになにかしたい。

葵が心から笑ってくれるなら、なんだってできそうな気がした。

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