一生に一度の「好き」を、全部きみに。
Heart*5
きみがくれた強さ
去年の夏、翔くんから送られてきたライブのときの咲の動画は私の宝物。
もらったブレスレットは毎日つけてる。クリスマスからずいぶん経ったから、少し色あせてきたけど磨いたらピカピカになった。
ふたつとも、私の大切な思い出の品。
思えば咲との思い出も増えたな。
付き合って九カ月、特に大きな喧嘩もトラブルもなく至って順調。
でもその分、私の心臓は確実に弱ってきている。
あとどれくらい、そう考えるのはもうやめた。考えたって変わらないもんね。
それにドナーが見つかるのを信じているから。
それまでは持ちこたえてよね、私の心臓。
ちょっとくらい痛くても、苦しくても、こんなのはきっとなんともないから。
「葵ちゃん、よく聞いてね」
診察室で先生が神妙な面持ちで話し出した。
なんだろう。
よくないことかな。
「今度発作が起きたら、心臓が止まるかもしれない」
え……。
ドクンと弾んで、キリキリ痛くて、今にも止まりそう。
冷や汗が流れて、今ここにいるという実感がまったくない。
先生はなにを言ってるんだろう。