一生に一度の「好き」を、全部きみに。
それって、死ぬってこと……?
「一時的に止まるかもしれないっていうことよ。それほど弱ってきているの。入院も考えなきゃね」
先生の声がやけにリアルに胸に響いた。
大丈夫だと思ってはいても、こうして突きつけられるとグラグラ揺れる。
薄っぺらいペラペラの紙一枚で保たれてる気力が今にもグシャッと潰れてしまいそう。
ああ、そうか。私は死ぬんだもんね。
まだ猶予があると思っていたけど、もうすぐそこまできてる。
頭の中に浮かんでくる現実に、目に熱いものが浮かぶ。
「ドナーは、見つかるの……?」
「ええ、見つかるわ。必ずね」
「……っ」
涙が頬を伝う。
私だってそう信じたい。
でも……本当は怖い。
怖いよ……。
わかってる、どうにもならないこともあるって。
でも咲と出会って、咲に恋して、私は……。
「今の葵ちゃんはすごくいい目をしてるわね」
「…………」
「生きたいっていう目。ちょっと前までは、運命を受け入れてどこか諦めたような目をしてた。見違えるようだわ」