一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「う……」
「ちがう?」
さらりと黒髪が揺れた。前髪の隙間から覗く、熱を帯びた瞳。
「ち、がわない」
クスッ。
小さく笑われて、私はもう誰がどう見てもわかるくらい真っ赤。
「よかった、同じ気持ちで」
そう言いながら咲の顔がゆっくり近づいてくる。キスされるんだとわかって、私はそっと目を閉じた。
いつも通りの触れるだけのキスなのかと思いきや。
「んっ」
離れてはくっつき、何度も唇が降ってくる。
絡められた指先に力が込められ、咲の熱が伝わってきた。
熱い、ものすごく。
溶けちゃいそうだよ……。
「さ、く」
「葵……好きだ」
頬や唇の横にも柔らかい唇が当てられた。
「私も……好きだよ」
「ずっと一緒にいような」
「うん……っ」
ずっと一緒にいたい。
離れたくないよ。
そう願いをこめて、きつく手を握り返した。