一生に一度の「好き」を、全部きみに。

上がったり下がったり、そんな日々の繰り返しで毎日はすぎていった。

何気ない毎日が、当たり前の日々が、こんなにも輝いていたんだって失ってみて初めて気がついた。

そんな未来が遠くないことを、私はすぐに思い知ることになる。

「お嬢様、今日はお休みになった方がよろしいかと」

「大丈夫」

「いいえ、無理しないでください」

「いく。学校いかなきゃ」

「そんな青白いお顔で登校したら、ビックリされてしまいますよ」

「うう、頑固者」

「それはお嬢様も同じです」

ああいえばこういう。

今日だけは平木の言葉に従って学校を休んだ。

咲にメッセージ、しなきゃ……。

ベッドに横になってスマホをいじっていると、だんだんと意識が遠のいていつの間にか眠ってしまった。

次に目を覚ましたらお昼すぎで、咲からは返信があった。

【無理すんな。ゆっくり休め】

短い文の中に優しさが見て取れる。

私はゴロゴロしながら咲の動画を流して目を閉じた。

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