一生に一度の「好き」を、全部きみに。

なんで私はこうなんだろう。

体調が悪いと思考も最悪になるのが、すごく嫌だ。

信じてたもの全部、すぐに揺らいじゃう。

私に未来なんてあるのかな。

そんなことを考えてたら、動悸はどんどんひどくなってきて。

ああ、ダメだ……。

体から力が抜ける。

自分が倒れていく感覚もないまま、ズルズルと重力のまま下に落ちていく。

うっすらかすむ視界の中、体育館の高い天井が映った。

私、もう……無理、かも。

だんだんとまぶたが下がってきて、血の気が引いていく感覚がした。

このまま眠ってしまいたい。

もう一生、目が覚めなくてもいいや……。

「葵!」

まどろみの中で、誰かが必死に名前を呼ぶ声がした。


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