一生に一度の「好き」を、全部きみに。

チャイムが鳴るまでにまだ時間があったので、教室を出てひと気のないほうへと進む。

その途中、前から歩いてきた派手なオレンジ色の髪の女の子にぶつかった。

「すみませんっ」

ペコッと頭を下げる。

「こっちこそごめん」

同じクラスの早瀬(はやせ)さんだ。彼女は飄々としたサバサバ系で、人と馴れ合ってる姿を見たことがない。

すごく大人しいけど、かなりの美人で目を引く容姿のせいか存在感が半端ない。

男女共学が初めての私にとって、日常の中に男子がいるなんてとても変な感じ。

特にこの学校は髪の毛を染めたりピアスをしたり、制服を着崩したりしている派手な人が多くて。

人との関わりって難しいな。

廊下からはポカポカと暖かい日差しがさしている。透き通るような水色の空を見ていたら、太陽の光をより近くで感じてみたくなった。

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