一生に一度の「好き」を、全部きみに。

「もう謝るなよ。俺は」

そこで一旦黙り込むと、咲は照れくさそうに頬をかいた。

「──どんな葵でも、全部好きだから」

一途な想いに涙があふれた。

私だって、咲が好き。

できることなら、十年後も二十年後も、その先もずっと一緒にいたい。

でもそれは、叶わないかもしれない。

だけど、もし私がアメリカにいくことで叶うんだとしたら……。

私は、私は……。

少しの望みにかけてみたい。

「泣くなよ。また倒れるぞ」

「うん……っ」

「俺がずっとそばにいるから」

そう言いながら肩を引かれて、そっと優しく抱きしめられた。咲の腕の中は、温かくて優しくて、とても落ち着く。

忘れたくない、この温もりだけは。

ずっと一緒にいたいよ。

生きたい、よ……。

「俺は……なにがあっても葵のそばを離れない。不安があるなら、全部吐き出せ。俺が一緒に背負ってやるから」

「……っ」

ねぇ、咲。

本当は咲だって怖いんだよね。

だって咲の声が、腕が、私以上にとても震えていたから。

< 255 / 287 >

この作品をシェア

pagetop