一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「もう謝るなよ。俺は」
そこで一旦黙り込むと、咲は照れくさそうに頬をかいた。
「──どんな葵でも、全部好きだから」
一途な想いに涙があふれた。
私だって、咲が好き。
できることなら、十年後も二十年後も、その先もずっと一緒にいたい。
でもそれは、叶わないかもしれない。
だけど、もし私がアメリカにいくことで叶うんだとしたら……。
私は、私は……。
少しの望みにかけてみたい。
「泣くなよ。また倒れるぞ」
「うん……っ」
「俺がずっとそばにいるから」
そう言いながら肩を引かれて、そっと優しく抱きしめられた。咲の腕の中は、温かくて優しくて、とても落ち着く。
忘れたくない、この温もりだけは。
ずっと一緒にいたいよ。
生きたい、よ……。
「俺は……なにがあっても葵のそばを離れない。不安があるなら、全部吐き出せ。俺が一緒に背負ってやるから」
「……っ」
ねぇ、咲。
本当は咲だって怖いんだよね。
だって咲の声が、腕が、私以上にとても震えていたから。