一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「わー、屋上だ~! 鍵開いてる」
ラッキー!
ダメ元でやってきた屋上だったけど、鍵が開いてたのでそのまま外に出た。
高くそびえ立つフェンスの前まで来ると、上からは校庭が見渡せるようになっている。
「桜の木もバッチリ見えるじゃん!」
そよそよと風に吹かれて揺れるたくさんの桜の木。目を閉じると、葉っぱのこすれる音がより近くに感じられた。
おまけに太陽の日差しが暖かいし、ポカポカして最高に気持ちいい。
誰もいなくて静かだし、いいとこ見つけちゃった。
フェンスに持たれて足を伸ばして座ると、再び目を閉じる。風が吹いて下ろした髪の毛が横になびいた。
五分くらいボーッとしていると、ふとどこかから誰かの声が聞こえてきた。
声というよりも……歌?
誰かが歌ってる。
それも、どこか聞き覚えのある癒し系の声。小さく口ずさむような感じだけど、透き通っていて胸にスーッと入ってくる。
まさか、ね。
ふと浮かんだ顔を頭を左右に振って打ち消す。