一生に一度の「好き」を、全部きみに。

ゆっくりとこっちを振り返るその姿に目を奪われたまま、身動きができない。

意志の強いまっすぐな瞳と整った顔立ちと、どこか気だるげな表情で人を寄せつけない冷たいオーラ。

「うそ……なんで」

なんとなく聞き覚えのある声だと思ったのも顔を見て納得した。

もう会うことはないだろうと思っていた。

それなのに……こんなのって。

ぼんやりしていると私に気づいたのか、ズカズカこっちへ歩いてくる。表情は険しくて、眉間にシワが寄っている。

わ、ど、どうしよう。

そう思っているうちに目の前のドアが勢いよく開いた。

「コソコソ隠れてなにやってんだよ」

ヒヤリとするほど冷たい視線。透き通るような低音ボイスに、明らかに私を敵対視しているようなオーラ。

「え、いや、あの」

とっさにうつむいてしまった私は、彼の……咲の足元に視線を落とす。

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