一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「なんでおまえがここにいるんだよ」
「あ、またおまえって……! なんでいるのかって、ここの新入生だからだよ」
矢継ぎ早に質問に答える私を、まるで幽霊でも見ているかのような眼差しで見つめてくる咲。
私はそんな咲にムッと唇を尖らせた。
「新入生って……マジかよ」
「マジだけど。なに? 私がいたら都合が悪いの?」
「誰もそんなこと言ってないだろ。あの時の変な女が、なんでここにいるのかってビビッただけだ」
落ち着きを取り戻したらしい咲は、小憎たらしく悪態をつく。
「変な女って、ひどい……」
「コソコソ覗いてるから、ストーカーかと思うだろ」
「だ、誰が! ありえないからっ」
相変わらず咲って思い込みが激しいというか、なんでも決めつけてかかってくる。
そういうところ、どうかと思うけど。
気が強くて俺様だし、おまけにかなりの頑固者。そういえば前に女嫌いだって言ってたっけ。
だからこんなに態度が悪いの?
いや、嫌われてるのかな、私。
「じゃあ、私、教室に戻るね」