一生に一度の「好き」を、全部きみに。

さらに細い脇道を見つけた。

でも路地裏は入り組んでいるから、もしここを曲がったとしてもヤツらがこっちからきていたら確実に捕まってしまう。

ど、どうしよう……。

うしろから追っ手がきているから、考えている時間はない。こうなったらもう一か八かだ。それも運命ってやつ。

くるりと方向転換すると、人ひとりがやっと通れるような細い道へと身体を横にしながら進んで行く。

建物と建物の間に挟まれて、身体が擦れてところどころ痛い。

それでも絶対に捕まりたくはないから、無心になって前に進んだ。

拓けた道に出るとあたりはシーンと静まり返り、さっきまで聞こえていたはずの足音が聞こえなくなった。

身体を横にしてしか通れなかった道も、その倍くらいには広くなった。

大きな建物の裏側に、どうやらたどり着いたらしい。目の前は行き止まりになっていて、他に道もなさそうだ。

ここを出るには来た道を戻るしかないと、私はすぐに悟った。

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