一生に一度の「好き」を、全部きみに。

ドキン。

思いっきり目が合って、その真剣な瞳にドキッとさせられた。今日一日でこんな風に目が合うのは何度目だろう。

ふとしたときに視線を感じて咲を見ると、必ず目が合う。自惚れてるだけかもしれないけど、咲は多分私を見ている。

そこにどんな思惑があるのかはわからないけど、目が合うたびに胸がざわついて落ち着かない。

「鳳くんって、葵のことよく見てるよね」

「えっ!」

「葵もめちゃくちゃ意識してるよね。鳳くんのこと」

「ちょ、花菜! なに言ってるの」

「なにって、思ったことをそのまま言ってるだけだよ。葵ってば、動揺しすぎ〜!」

「やめてよ、動揺なんてしてないから」

「照れなくてもいいじゃん。お似合いだと思うよ、葵と鳳くんは」

花菜はニヒッとかわいく笑った。

「本当にそんなんじゃないよ……」

だって、私は──。

恋なんてしていいはずがない。

思わず左胸に手を当てた。

心臓は拍動を繰り返し、たしかに正常なリズムを刻んでいる。手のひらにかすかに触れる振動。それが私が今生きている証。

いつ止まるかわからない私の心臓の寿命は、刻一刻と迫ってきている。

あと五年──。

二十歳までに、私の心臓は止まってしまう。

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