一生に一度の「好き」を、全部きみに。
うっ。
せ、背中が……。
思いっきり当たって強打してしまった。
這いずって扉から離れると、キーッと軽やかな音を立てて扉が開く。
「え? お、女の子……?」
しまった!
そう思ったときにはもう遅くて、中から男の人が出てきた。
「なっ? 言っただろ、なんかに当たったって」
「え、まさか、この子に当たったのかよ?」
「そう、なのかな? きみ、大丈夫?」
ペタンと座りこむ私の前に、ふたりの男の人がマジマジと顔を覗きこんでくる。
そのとき、ふと足音が聞こえた気がした。振り返った私は思わず目を見開く。
ヤバい。
ここにいたら、確実に見つかってしまう。
私は最後の力を振り絞って、サッと立ち上がると目の前の男の人の腕を片方ずつ脇に抱えた。
「え?」
「うおっ」
戸惑う声を無視して、迷わずに扉の中へと飛びこんだ。
そして勢いよく扉を閉めて、ガチャリと鍵までかける。
心臓がバクバク高鳴って、見つかるんじゃないかとヒヤヒヤした。
耳を澄ましてみたけど、扉を閉めたせいなのか、外からはなんの音も聞こえてこない。
とにかくやり過ごせますように……。