一生に一度の「好き」を、全部きみに。
特別視
五月末、カラッと晴れた青空が清々しい今日この頃。教室の窓際のカーテンが、風を含んでそよそよ揺れるのをぼんやり眺めていた。
今日最後の授業のホームルームで、来月におこなわれる体育祭の種目決めをしている最中。
うちのクラスは皆やる気がないのか、なかなかスムーズに決まらない。
「体育祭とか、ホントだるーい」
「日焼けするんだけどぉ」
「だよねー! なくていいと思いまーす!」
目立つ派手なグループの女子たちが騒ぎ出し、次第に教室中がざわざわとうるさくなった。
一番目立っているのは、派手な茶髪をゆるく巻いてバッチリメイクを施している瀬尾さん。
モデル並みのスタイルで、とてもかわいい。学年のマドンナとしても人気者だ。
「静かにー! とにかく決まらなきゃ今日帰れないんで! やる気はなくても全員強制参加ですっ!」
クラス委員の諸角さん、強し。
リーダーシップがあって、意見がまとまらないときには、みんなの言い分を聞きながらクラスをうまくまとめてくれる。
入学して間もないけど、諸角さんはクラスの人たちからの人望も厚くて先生からも信頼されている。
もうひとりのクラス委員の男子も、諸角さんに全部任せっきりだ。