一生に一度の「好き」を、全部きみに。
ここで心臓が悪いから出たくても出られないって本当のことを言えば、丸く収まるのかな。
だけど……同情されるのはわかりきってるから、言いたくない。
みんなから責めるように見られている気がして、机の上に視線を落とす。
病気の子という特別な目で見られるのが嫌だった。
「はい」
そんな中、沈黙を破るように低い声が響いた。
「俺がリレーに出る」
恐る恐る顔を上げた私の目に映ったのは、挙手している咲の背中だった。
その声に教室内がまたざわつく。
「鳳くんが?」
「どうして?」
「つーか、対抗リレーって男女の比率決まってないよな?」
そんな声をものともせず、咲は諸角さんをまっすぐに見つめている。
「あ、うん。とりあえず人数だけ集まれば男女関係ないよ」
「そっか。なら近藤、お前陸上部だろ? どう?」
「え、俺? まぁ、別に出てもいいよ。誰もいなかったら挙手しようと思ってたし」
「じゃあ決定な。翔、お前も出ろ」
「えっ!? 俺? 仕方ない、咲の頼みなら」