一生に一度の「好き」を、全部きみに。
実のところ、これまでの学校生活の中で、今日みたいなことは初めてではない。
桜花女学院の中等部に通っていた頃にもあった。
幼稚部や小等部のときは『身体が弱いから』と言えばみんなが心配してくれたし、気遣ってくれる子が周りには多かった。
外部受験生が多い中等部で生徒数が増えると、そんな私をよく思わない人も当然出てくるわけで。
『どうして神楽さんだけが特別なんですか?』
『体育の授業で走らなくて済むなら、私も病気になりたかった』
『ずるいよね』
そんな風に言われたり、からかわれたりすることが増えた。
特別な目で見られるのが嫌でたまらず、学校にいくのが嫌だった時期もある。
普通になりたくてもなれなくて、もがいて、あがいて。病気になったのがどうして私なんだろうって何度も思ったし、自分の運命に何度もうんざりした。
だからこそ私は『多勢の中のひとり』という存在に強い憧れを抱いていた。
『でも病気はかわいそうだよね』
『絶対なりたくなーい!』
『かわいそうだから、優しくしてあげなきゃじゃん?』
小さい頃からわかっていた。
みんなが私を気遣ってくれるのは、私に同情しているからなんだってこと。
私をよく思っていない子たちまで、そんな目で見るようになっていった。
それでも私の人生は病気とは切り離して考えられない。嫌でも一生向き合っていかなきゃいけないの。