溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
「美華さんはお美しいですよ」
竹下は穏やかな笑みを浮かべながら先を続ける。
「ですから、断られるべくして断られたわけですが。……でも、一度は僕と会おうと思ってはくれたわけですよね?」
「……まぁ、そうですね」
直接会って断ろうと思ったのだけれど。
「それなのにどうして突然?」
竹下は純粋な目をして美華を真正面から見つめた。
まだ結婚する気分ではないからといった、適当な理由をつけて誤魔化すのはナンセンス。この人に嘘はつけない。
直感でそう感じ、正直にありのままを話そうと口を開く。
「実はあの日、竹下さんだと勘違いしてお会いした方がいまして、その方とトントン拍子に結婚話が進んで」
話しだしたとたん、竹下の目が真ん丸に見開かれた。