溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜

「トントンって会いそびれたのは一昨日ですよね? たったの二日間で?」
「そう、なりますね」


竹下が驚くのも無理はないだろう。美華本人ですら、いまだにどこか信じられない部分がある。
竹下は激しくまばたきをしてからアイスコーヒーのストローに口をつけ、ものすごい勢いで吸い込んだ。最後にズズッと音を立ててから、再び美華を見る。


「人違いで出会った人と結婚を?」
「はい」
「僕だと思ってご一緒した男性と」
「竹下さんだと思ってお話ししていました。途中で父から電話が入って、そこで人違いだと判明して」


あのときの焦りといったらなかった。
博人もそうだが、お互いになんというミスをしでかしたのかと。


「でも急にそんな話になるということは、またいきなり結婚が取りやめになる可能性もはらんでいませんか?」
「……え?」


なぜ、そんな可能性を考えるのかが不可解だ。
竹下はやけに目に力を込めて力説した。

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