溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
「というか、当初の予定どおり僕との結婚に軌道修正しませんか?」
なにをいきなりというのは、お互い様だろう。
そんな話を持ちかけられるとは想像もしていなかった。
「僕なら美華さんの力になれると思うんです」
なにを言っているのかわからず、今度は美華が呆気にとられる番だった。
「実は今度、うちの社に児童書を扱う部署が新設されることになったんです。そこへ異動予定になっていて、美華さんの本を扱えたらいいなと」
正隆は中堅の出版社に勤めている。社会人文学など、美華には遠い存在の専門書を担当する部署だが、その部下ならば竹下もそうだろう。
その出版社に美華も関連する部署ができるから、ぜひ手を取り合ってやっていきませんか?と、竹下は熱く語りだした。
実は子供の頃から冒険物の本が大好きで、いつかはそういった本の出版にかかわりたいと思っていたと。
「ですから美華さん、ぜひその結婚をやめて、僕との未来を考えなおしてみませんか?」
「はい!?」