溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜

博人が同席していたら、恥ずかしくて聞かせられない答えだ。


「そうですか。おふたりは、もうそういう間柄になられましたか?」
「そういう、間柄?」


夫婦という形を言っているのか、それとも気持ちの問題を指しているのか。なにについて言っているのかわからずにおうむ返しに尋ねる。


「つまり、セックスです」
「セ、セ……」


おしとやかな沙也加から卑猥な言葉が出てくるとは思わず、美華は自分でも落ちるかと心配するほど目を見開いた。

沙也加は、顔色ひとつ変えない。


「されましたか?」


踏み込んだ質問に答える義務はないだろうが、横取りした引け目もあり、だんまりを決め込むのもどうかと考えた。
首を横に振って答える。

博人の口ぶりから、初めて一緒に過ごした夜にはそういう状況になるのかと思っていたが、結局はなかった。

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