溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜

「父がいろんな方とのお見合い話をもってくるのですが、お会いしても断られてばかりで」
「沙也加さんが?」


同じ言葉で返す以外にない。


「感情が読み取れなくて、なにを考えているのかわからないと、みなさん一様におっしゃるんです」


うっかり〝あぁ、わかります〟と言いそうになり、美華は口をぐっと引き結んだ。


「相手側から初めてお見合いを持ちかけられ、今度こそはと思って意気込んでいたのですが」


美華が横取りしてしまったから、会うのすら叶わなかった。


「博人さんが人違いをされた方とすぐに結婚をお決めになったと聞いて、それなら私でもよかったのでは?と押しかけたんです」


会って即結婚を決意するような男なら、自分も受け入れてもらえると考えたと。


「学生の頃からそんな調子で、恋をしたこともありません」
「あっ、それは私も同じです」

< 132 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop