溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
勢いよく美華が同意すると、沙也加の顔が一瞬華やぐ。
と同時に、ふたりの間に親近感のようなものが湧いた気がした。
「そうなんですか?」
「ぜんっぜんダメでした」
好きな人のひとりやふたり、いたことはある。けれど、地味で目立たない自分では相手にされないだろうと陰から見ていただけ。
なんとかオシャレをして変身した大学時代も、中身まで変わるわけではないため、結局は恋愛とは程遠い日々を過ごした。
「でも美華さんは、博人さんに見初められたんですものね」
「人生で初です」
はっきりと愛の言葉をもらってはいないが、好意めいたものを感じたのは初めて。
美華自身の中でも、博人に対する気持ちが少しずつ育っている感覚はある。
「美華さんが羨ましいです」
沙也加がポツリと呟く。