溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
耳に痛い真実


博人が帰国したのは、それからさらに一週間が経った金曜日の昼過ぎだった。

ドバイへの急な出張がなければ、先週の週末に博人の両親に会えるはずだったが、こればかりは仕方がない。
今週末にでも時間をとってもらえるよう、彼にお願いしようと考えながら玄関で出迎えると、博人にその場で抱きすくめられた。

おかえりなさいを言おうとした唇が、すぐさま奪われる。
そんな性急さに美華はドキドキさせられた。


「やば。俺、美華にすごく会いたかったみたいだ」


両頬を手で包み込み、離れた唇で妖しく囁く。


「おかえりくらい言わせてください」


高鳴る胸を隠したくて、茶化すように平然と言った。


「美華は全然へっちゃらだったって感じだな」


博人が悔しそうに言い、それもまた美華の心をくすぐる。つい頬を緩ませると、「なにがおかしい」と、その頬を軽くつねられた。

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