溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
「少し日に焼けました?」
もともと色白ではないが、いい具合に褐色だ。
「日差しが半端なく強かったからね。あっちは奇抜な建物がゴロゴロあって、いい刺激にもなったよ」
「あ、知ってます。雑巾みたいなビルとか!」
「ハハッ、雑巾か」
「はい。絞ったような形をしたビルです。あとは松ぼっくりを被せたようなものとかも」
いつだったか、変わった建物百選といったテレビ番組で見た記憶がある。
ほかにもピラミッド型のホテルがあるとか。
「美華にかかったら、崇高な建築家の作品も形無しだな」
博人が愉快そうに声を立てて笑う。
「失礼、ですかね」
「いや、わかりやすい例えだ」
ほかに美しい表現ができないとは、絵本作家として恥ずかしい。