溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
「えー! うそー!」
「ほんとほんと。秘書室の人が話しているのが聞こえたの」
「うわぁ、ショックなんだけど」
顔が見えなくても、ガッカリする様子は伝わった。
友人の鈴が言っていたことを思い出す。博人はとても人気があると。
「でも、その人、間に合わせで調達してきただけみたいよ」
(えっ、間に合わせ? 調達?)
思いも寄らない単語が女性から飛び出した。
美華の耳が敏感に反応する。
「そうなの?」
「今日のパーティーに間に合うようにって会長から言われて仕方なくだって」
今日に合わせて用意しただけだと言うのか。
「それじゃ、とりあえず奥さんとして紹介して、その後は……」
「ポイ、とか」
(……ポイ?)