溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
「なんか顔色が悪くないですか?」
竹下に言われ、自分の頬に手をあてる。
「そうですか? 慣れない場所なのでちょっと疲れたのかもしれません」
適当に誤魔化して笑顔を浮かべる。うまく笑えているか心配だった。
「少しお話ししませんか?」
竹下に誘われ断ろうと思ったが、前回失礼な形で終わったため、もう一度謝罪しようと思い立つ。
「少しなら」
美華がそう答えると、同僚の男性は「先に中に入ってるよ」と気を利かせた。
会場前にあるソファに竹下と並んで座り、ふぅと息をつく。
「やっぱり疲れているようですね」
「あっ、ごめんなさい」
口もとを急いで押さえ、軽く頭を下げた。